話題を擦り返ると
「んー少しだけ寝てもいいかな?」
良かった、気付かれてはいないみたいだ。
「あ、はい。じゃあ真姫達が帰ってきたら起こしますね」
「うん、鷹野さん」
ソファに横になりながら先生が名前を呼んだ。
「はい」
「話してくれてありがとう」
笑顔でそう言うと本当に目を瞑って寝てしまった。
一人になると押し寄せる不安の波。
それは今でも波の音が聞こえてくるからか
次第に大きくなり、闇が私を包む。
窓の外は既に黒く、今の私の心のよう。
「先生..」
呼んでみても返事はない。
もう眠りの世界に入ってしまったんだ――
「先生、ごめんね」
こんな時にしか謝ることが出来ない最低な私で
本当にごめんね。


