「あ、えーっと違うくって..小さい頃、男の子をからかってずっと謝ってなかったんです、その子に。だから今すごく後悔していて」
咄嗟に付いた嘘も、この人に通じているのかは分からない。
でも悟られたくなくて
私が“美麗”って知られたくなくて
口からはどんどん嘘が出てくる。
自分に呆れてバカらしくなって
次第に先生から視線を逸らし、俯いてしまう。
バカみたい、こんな嘘付いて
騙して...
何が好きよ。
新しい感情よ。
好きな人に嘘付くなんて
最低だよ
「君はホントに偉いんだね」
先生が私の隣に来ると
ポンっと頭に手を置いた。それがよしよしと何度も頭を
撫でてくれる。
「そんな私は」
「大丈夫、きっとその子ももう気にしてないよ」
嘘。先生は今でも気にしてる、傷付いてる。
だからこうして私に会いに来たんでしょ?
復讐しに来たんでしょ?
「ごめんなさい、こんな暗い話。そうだ、テレビでも見ます?」


