「だ、大丈夫です」

何とか平常心を取り戻して先生のいる場所にお茶を置く。

あまり近過ぎてはいけない気がして少し離れたところに
座ると


「ねぇ」

先生が私に視線を向けて呼びかけた。


「はい?」

「鷹野さんの事、教えて?」

「・・私の事ですか?」

「そう、良く考えたら俺自分の話ばかりで
君の事何も知らないし」

「そうでしたね」


本当に知りたいの?

「聞きたいな、君の話」


本当にそう思ってる?

私の過去を知ったらきっとあなたは...


「何も特別な事はないです、普通に生きて...」

そこまで言いかけて、口を閉じる。


この人の前でなかった事になんて出来ない。


「ある人を傷つけてしまったんです」

「え?」