「君とあの生徒が付き合っているんじゃないかって思ったら
ちょっと落ち着かなくなってしまって」

「先生...」

「でもこれがどんな感情か僕はまだよく分からないんだ」

「は、い」

「だからさ、この気持ちにちゃんと自信を持てたら
君に伝えるよ」


普通なら飛び上がるほど嬉しい言葉なんだと思う。


でもそれを安易に受け入れてはいけない。

喜んではいけない。


だって私は“美麗”で

この人はそれを知らないんだから。


先生はニコッと笑うと

くしゃっと優しく私の頭を撫でてくれた。



「先生、私が美麗なんです」

そう言えたらどんなに楽なんだろう。

いいんだろう。


でもそれが言えないのは

きっと私の中で確実に大きくなっている

この気持ちのせい――――