「先生、海は好きですか?」

「あぁ、海もよく来たよ」

「いいですよね、この前見せてくれた景色と
同じようにいろんなものがちっぽけに見えてきます」


「そうだね」


それを最後に二人で暫く海を見続けていた。




ザザーッと繰り返される波。

少しずつ海に隠れようとしている太陽。

周りには誰もいなくて

ここだけが特別な場所のように感じる。

私達だけの特別な場所。


暑さなんてちっとも感じない。


それはドキドキとチクチクが

忙しなく交互に入れ替わっていて

暑さを忘れさせているからなんだと思う。