桜の花が舞う頃に



こちらに送られてる切なそうな視線を、
俺は見て見ぬふりをしている。


鷹野さんを・・傷つけてしまった。


「まぁ、そうだろうな~。
お前があんな態度取り続けてたら
向こうも傷付くよなぁ~」


ごろんと上質な畳の上に寝転ぶ陸斗を見ながら

自分がどれほど彼女を傷つけてしまったのか
改めて反省する。


「なぁ、お前、アイツの事どー思ってんの?」


その質問は

「どういう意味だ?」


「だからさ、アイツの事、女として意識してんのかって
聞いてんの!」

「それは・・」


正直に言ってしまえば・・


「それも」

「良く分からないってか」

陸斗の言葉に頷く。


確かに他の生徒に比べたら大切かもしれないけれど。


人を愛する事を今までしてこなかった俺にとって

それが好きなのかどうなのか分からないまま。