深々とお辞儀をして去って行く芝崎さんの背中を見つめてから
僕も校舎へと戻ろうとした時
「あの子、来ますよ、旅行に」
既にいないはずの芝崎さんが穏やかな顔でそう言い、
また歩きだした。
旅行よりも何よりも、
俺は先程の自分の行動に少なからず驚いていた。
何故彼女の腕を掴んだのか
何故、あんな事を言ってしまったのか
彼女を怖がらせてしまったのか。
その理由が何なのか、今の僕では答えを見付ける事は
出来ない。
空は雲ひとつない快晴、
僕の気持ちとは正反対のスッキリした空。
その空に向かって一つ景色に似合わない
ため息をこぼした。


