「ち、違います。本当に違うんです」
先生に掴まれている腕が熱を帯びていく。
熱くて、ドキドキする。
「ちょっと、先生、嫌がってるじゃん、離してやってよ」
恭哉くんの怒鳴り声に
「ご、ごめん」
先生がゆっくり腕を離した。
「い、いえ」
そう言ってから
「それじゃあ、行こう恭哉くん」
今度は私から恭哉くんの腕を引っ張り先を歩いた。
「旅行、待ってるから!」
後ろから聞こえた声に振り返りもせず、
ただ前を向いて歩く。
初めてみた、先生のあんな怒った顔。
刺さるような鋭い視線。
きっと私が美麗と分かったら先生は
あんな顔をして私を見るんだ。
そして―――


