せっかく咲いたのに、

もう何処かへ行ってしまうのかな

そしてこれからどこに行くのだろうか



そんな事を考えながら空にあった視線を
前に移したその時。



向こう側、

丁度桜並木が途切れている所で

私と同じように空を見上げていた人がいた。




誰、だろう?

少し距離があるせいか顔は良く見えない。

その人もやがて桜から私の方へと視線を移すと

暫くの間、私を見つめてからくるりと反対を向き

歩き出した。





それが私と彼の出会い。


とても優しい風が吹いた、朝の出来事だった。