慌ただしい一学期も今日で終わり、
明日から夏休みに入る。


静かだったこの辺も、
今はセミが忙しなく鳴いている。

強い日差しに思わず手を当ててしまうほどで。


暑さを嫌ってほど感じてしまう。



桜並木はいつの間にか花が咲いていた形跡は一つもなくて。

今は緑色葉を揺らしている。



早く家に帰りたい・・


受験生なのに・・本当にこのままで大丈夫かな・・


そう思いながら角を曲がると


「あ、」

見覚えのある背中を見付けて思わず声が出てしまう。


本当は声をかけたいけれど

この前の事があってからか罪の重さを再確認したからか

あれから先生には会えなかった。


緊張する・・


とにかくどうか先生が私に気が付きませんように。


その祈りも虚しく

彼は何を思ったのか振り返ると

「おはよう、鷹野さん」

笑顔で手を振った。