何を言ってんのよ、今更
「ちょっと」
「分かってるよ、お前の言いたい事くらい。でもな、分かんねぇんだよ」
「分からないって...」
「とにかくお前に話す事は今のところ何もないな」
何それ。
「私は美麗の友達なんだよ!」
「友達だからって何でもかんでも突っ込むことじゃねぇんだよ。
特に言いにくい事はな」
確かに、コイツの言いたい事は分かる。
でも、やっぱりわたしは
「お前俺達の事、美麗に喋ったのか?」
突然落とされた質問に左右に首を振ると
「ほらな、肝心な事は言ってねぇ」
「う、でもそれとこれとは」
「一緒だよ」
「でも、これ以上わたし、あの子の泣いてる所見たくない!」
しーんと再び静寂が戻る。
何かを考えるようにこめかみを指でつまんでいた陸斗が
私をまっすぐ見る。
その整った顔立ちに不覚にもドキンっと心臓が動く。
もう、忘れたはずの感情なのに。


