本当の自分を隠して
この人を騙して
それでも
私はどうして一緒にいたいなんて思うんだろう?
もう一人の自分が必死に教えてくれるのに
セーブをかけるように言ってくれるのに
それを聞くことが出来ないのはどうしてだろう?
こんな事知られたらきっと
ううん絶対に先生の怒りが止まらなくなるのを知っているのに。
分かってるのに。
私を殺す..そういう事もあるかもしれないのに―――
何度もそう自分の中で葛藤しながら一日を過ごし、気付けば
あっという間に放課後になっていた。
太陽の色が変わり始め
教室にはオレンジ色の光が差し込む。
昼間とは違う、世界が視界に広がる。
悶々とした時間を過ごす中、先生は少しだけ息を切らして
教室まで迎えに来てくれた。
「遅くなってごめん」
「いえ、大丈夫です」


