マンションのエントランスでお兄ちゃんと
別れてひとりで学校に向かう。
すーっと息を吸うと入ってくるのは
優しい春の匂い。
車の出入りが少ないこの辺は
いつだって新鮮な空気を吸える。
近くには緑が溢れ、
花達がまるで踊るように揺れている。
道を通る事に現れる自然が何よりも好き。
学校までは結構な距離があるけれど、
それでも目の前に広がる景色を
もっと堪能したくて徒歩で登校する事を選んだ。
そして何よりもお気に入りの場所がもうすぐ
目の前に現れると思うと心が少し踊る。
「満開にはまだ時間がかかりそう」


