空悟~大切な君~

俺はプリントを受け取り、教室を出ようとした。その時、突然純太が声をかけて来た。
「海斗!」
「な、何だよ」
大声で呼ばれて振り向くと、純太は何か言いたそうだった。
「どうした?」
純太は強張らせた表情をすぐに笑顔に変え、
「俺宿題忘れたから、後で見せてくれよ」
「何だよ。分かった。後でな」
そして俺は教室を出た。この時は分かっていなかった。純太が焦っていた事に。