空悟~大切な君~

純太の試合を観に行くと約束した放課後、俺は空悟を迎えに行き、途中で公園に寄ってベンチに座った。空悟に元気はまだない。
「空悟」
呼び掛けた時、空悟はふと上を向いた。つられて見ると、そこには一機の飛行機雲。
それを見て思い出してしまったのか、空悟は目に涙を浮かべながら俺を見た。
「兄ちゃん、空の飛行機…」
俺は空悟の頭を撫で、鞄から出来たばかりの飛行機を取り出し、空悟に渡した。
空悟は受け取って俺を呆然と見上げた。