静かに燃える小さな焚火を囲む中で、オルディオも同席しているというのに緊張感も無くけらけらと笑うロキ。
確かに、見ず知らずの少女を拾ってきた時点で色々な想像をされてしまうのは致し方ない事だが、生憎ライという青年には犯罪を犯す発想も無ければ勇気も無い。
殊更、異性の扱いには滅法弱い。
故にライの証言は嘘ではないと分かっているのだが、純情な青年をからかわずにはいられないらしい。
指を差して笑ってくるロキに対し、なんて嫌な大人なんだ…とライは唇を噛み締めた。
「そんな泣きそうな顔するなよ…。…それでその娘ってのは今何処にいるんだ?」
「…リディアの元にいます。怪我は無かったですけど、随分ボロボロでしたから…」
全裸という点はさておき、ふと思い返してみればあの少女は純白の肌を覆い隠す程に、全身砂塗れだった気がする。
どうやったらあんな風になるのやら。
「…バリアン国家の奴隷運搬用の荷車、と言ったな?」
うんうん唸りながら頭を抱え始めたライに、今まで口を開かなかったレヴィの言葉が不意に投げ掛けられた。
顔を上げて向かいに座る彼を見やれば、腕を組み、いつもの鋭い眼光でライを射抜いてくる。
白槍の視線は思わず後込みしてしまう程鋭利なもので、出会った当初は嫌われているのかと不安に思ったものだが…付き合いも長くなれば自ずと、それがいつ誰に対しても向けられるものだと分かってきた。
…いつか、その眼光が和らぐ時があるのだろうか。
「はい…砂食いのせいでだいぶ原型が無くなっていましたが、荷車の錠前や側面に紋章を見付けました。最初は、武器を乗せているのかと思ったんですが……今思えば、武器運搬にしてはほとんど装甲も無かったし、警備もありませんでした」
「目立たないための外装、ってことは考えられないのか?」
深く被っていたフードを外しながらロキも一案を出してきたが、ライは頭を左右に振る。
「…例えそうだとしても…砂食いに襲われる意味が分からないんです。あの魔獣は、頭が良い…」
確かに、見ず知らずの少女を拾ってきた時点で色々な想像をされてしまうのは致し方ない事だが、生憎ライという青年には犯罪を犯す発想も無ければ勇気も無い。
殊更、異性の扱いには滅法弱い。
故にライの証言は嘘ではないと分かっているのだが、純情な青年をからかわずにはいられないらしい。
指を差して笑ってくるロキに対し、なんて嫌な大人なんだ…とライは唇を噛み締めた。
「そんな泣きそうな顔するなよ…。…それでその娘ってのは今何処にいるんだ?」
「…リディアの元にいます。怪我は無かったですけど、随分ボロボロでしたから…」
全裸という点はさておき、ふと思い返してみればあの少女は純白の肌を覆い隠す程に、全身砂塗れだった気がする。
どうやったらあんな風になるのやら。
「…バリアン国家の奴隷運搬用の荷車、と言ったな?」
うんうん唸りながら頭を抱え始めたライに、今まで口を開かなかったレヴィの言葉が不意に投げ掛けられた。
顔を上げて向かいに座る彼を見やれば、腕を組み、いつもの鋭い眼光でライを射抜いてくる。
白槍の視線は思わず後込みしてしまう程鋭利なもので、出会った当初は嫌われているのかと不安に思ったものだが…付き合いも長くなれば自ずと、それがいつ誰に対しても向けられるものだと分かってきた。
…いつか、その眼光が和らぐ時があるのだろうか。
「はい…砂食いのせいでだいぶ原型が無くなっていましたが、荷車の錠前や側面に紋章を見付けました。最初は、武器を乗せているのかと思ったんですが……今思えば、武器運搬にしてはほとんど装甲も無かったし、警備もありませんでした」
「目立たないための外装、ってことは考えられないのか?」
深く被っていたフードを外しながらロキも一案を出してきたが、ライは頭を左右に振る。
「…例えそうだとしても…砂食いに襲われる意味が分からないんです。あの魔獣は、頭が良い…」


