時折数人の兵士らを轢いて一直線に走るグランカは、立ちはだかる北門の手前にまで差しかかろうとした瞬間、進路の途中にポツンと置かれていた荷車に向かって跳び跳ねた。
一体何キロあるのかは分からないが、人間一人を圧死させるなど容易いその重量が、荷車に覆いかぶさる。
丈夫な筈のそれが一気に軋み、車輪は砂にめり込む前に折れ、原型が分からなくなる程にひしゃげる壮大な破壊音が響き渡ると同時に、グランカは大きく跳躍していた。
荷車を飛び台に、グランカの巨体は大きなシルエットを地に這わせながら空へと上る。
呆気に取られた表情で見上げる兵士達の視線の先で、グランカは飛来し、砂埃を纏いながら。
―――…北門を、飛び越えた。
一秒足らずの間を置いて、北門の外側から凄まじい地響きが鳴り響く。大きな岩山が空から降り立ったその場は、蟻地獄でも出来たかの様に大きく陥没した。
そして間髪入れず、グランカは目の前に現れた広大な砂漠に向かって泳ぎ出す。
門を開けろだの何だのという敵方の喚き声を背に、二人を乗せたバジリスクはあっという間に砂漠の海の彼方へと姿を眩ました。
首都が豆粒程に小さく見える頃になると、グランカの背でロキの歓喜に満ちた雄たけびが上がった。握り締めたままの槍の柄で、ロキはグランカの頭を軽く小突く。
「最高だぜグランカ!さすがは俺が手塩をかけて育てただけのことはある!白槍さんよ、俺とこいつに感謝しな」
「ああ、よくやったなグランカ」
「おい、今あからさまに俺を外しただろ」
「さあな。それはさておき……今日の集会には、思ったより早く着きそうだな」
ロキの睨みから、さも当然とばかりに顔を背けると、レヴィは不意に泳ぎ続けるグランカの背から飛び降りた。
目下を激流の如く流れ過ぎていく砂地にダイブなど、下手をすればバランスを失って放り出されてしまう危険性があるのだが。
レヴィが降り立ったのは暑い砂漠の上ではなく、グランカと酷似する…否、同類の背中だった。
一体何キロあるのかは分からないが、人間一人を圧死させるなど容易いその重量が、荷車に覆いかぶさる。
丈夫な筈のそれが一気に軋み、車輪は砂にめり込む前に折れ、原型が分からなくなる程にひしゃげる壮大な破壊音が響き渡ると同時に、グランカは大きく跳躍していた。
荷車を飛び台に、グランカの巨体は大きなシルエットを地に這わせながら空へと上る。
呆気に取られた表情で見上げる兵士達の視線の先で、グランカは飛来し、砂埃を纏いながら。
―――…北門を、飛び越えた。
一秒足らずの間を置いて、北門の外側から凄まじい地響きが鳴り響く。大きな岩山が空から降り立ったその場は、蟻地獄でも出来たかの様に大きく陥没した。
そして間髪入れず、グランカは目の前に現れた広大な砂漠に向かって泳ぎ出す。
門を開けろだの何だのという敵方の喚き声を背に、二人を乗せたバジリスクはあっという間に砂漠の海の彼方へと姿を眩ました。
首都が豆粒程に小さく見える頃になると、グランカの背でロキの歓喜に満ちた雄たけびが上がった。握り締めたままの槍の柄で、ロキはグランカの頭を軽く小突く。
「最高だぜグランカ!さすがは俺が手塩をかけて育てただけのことはある!白槍さんよ、俺とこいつに感謝しな」
「ああ、よくやったなグランカ」
「おい、今あからさまに俺を外しただろ」
「さあな。それはさておき……今日の集会には、思ったより早く着きそうだな」
ロキの睨みから、さも当然とばかりに顔を背けると、レヴィは不意に泳ぎ続けるグランカの背から飛び降りた。
目下を激流の如く流れ過ぎていく砂地にダイブなど、下手をすればバランスを失って放り出されてしまう危険性があるのだが。
レヴィが降り立ったのは暑い砂漠の上ではなく、グランカと酷似する…否、同類の背中だった。


