亡國の孤城Ⅲ ~バリアン・紲の戦~



片手に余る金銭でもいいから…と、とにかく小さな身でも出来る仕事があれば、何でもした。
元々人気の無い村だ。仕事という仕事は限られていて、荷物運びや買い物、子守、果てには犬の散歩など、ほとんど手伝いや雑用に近いものばかりだったが……してもしなくてもいい手伝いに、村の人々は律儀に駄賃をくれた。

今思い返してみれば、家のためにと働く健気な子供に気を遣ってくれていたのかもしれない。自分達だって、生活に余裕など無かった筈なのに。



「でもそのおかげで…たいていの事は何でもこなせる様になりました。一家に一人欲しい働き者だなんて言われて…。まぁ、それはさておき………僕が四つか五つ位になった時だったかな………急に、僕等の家にいつの間にか…赤ん坊がいたんです」

「…いた?…赤ん坊がですか?忽然と?」

「僕からすれば突然ですよ。…いつの間にか家にいて、何食わぬ顔で母が抱いていたんですから」




何の前触れも無く、だったと思う。いつもの日常、いつもの暮らしの中に、いつの間にか見知らぬ赤ん坊の姿が現れ、極普通にその赤ん坊の存在が溶け込んでいったのだ。

突然の出来事に、最初は目を白黒させていたのだが…当然の様に子守を任され、慣れない様子で産着を代えたりあやしている内に、当初抱いていた疑問はすっかりさっぱり消えてしまった。
子供の順応性って素晴らしい。



「そうこうしている内に、その数ヶ月後にはまた一人赤ん坊が家にいて、その翌年には二歳くらいの子供がまたいつの間にか家にいて…狭い我が家はどんどん賑やかになっていって………六つの頃、さすがにこれはおかしいと僕は思い始めました」



歳もばらばら、顔も皆似ても似つかぬ子供達。ライが成長するにつれて我が家の住人は増えていき、一人、時には一度に二人の赤ん坊が現れたりという謎の怪奇現象を目の当たりにしてきたライ。
とある暑い昼下がり。赤ん坊を背負い、両手に二人の幼児を連れた子沢山家族の典型的な長男のスタイルで、とうとう母に疑問をぶつけてみたのだ。