「…まぁ、可哀相なロキの事はさておき……それなりに情報は入った。次いでに…俺達の他にバリアンを探っている奴がいることも、分かった………何者か知らないが、用心に越したことは無い」
「…ただの一般人かもしれないが、それはそれで相当肝っ玉の据わった一般人だな。………しかし、探り先が同じなだけで俺達三槍とは相反する…敵方の人間だったらどうする?面も分かってねぇ上に先起こされているんだ…悠長に構えている場合か?」
今度は、黒の布を巻いた集団の中から一人の男がレヴィの推察に割り込んできた。途端、白の集団の敵意を孕んだ視線が黒側に注がれるが、当の黒側の男達は我関せずと顔を背ける。
互いに嫌な空気を醸し出す白黒の双方の仲の悪さを、彼等を束ねるそれぞれの長…白槍と黒槍はだいぶ前から知っているが、正直な話、自分達の部下の関係など気にもとめていない。
故に黒槍側の部下から咎める様な台詞が飛んできても、レヴィは妙な派閥など気にせず一つの意見としてあっさりと受け止めた。
数メートル頭上の穴の縁に腰掛けていた黒側の男に、レヴィは不敵な笑みを見せる。
「確かにそうだが、今は明確な敵から仕留めていくのが先決だ。…以前から話にも出ている敵方の密偵も、然り。………尻尾を出すのを待て。しぶといようなら、隅から隅まで隈無く突いていけばいい」
地味で時間も要するが、確実だ。そう断言するレヴィに、黒槍側の面々はやれやれと肩を竦めた。
「侵入者の面を拝むのは後にして、だ…。……敵方の警備が厳重になった点で原因を注視するのは当然だが…今夜の議題はそこじゃない」
そう言って目配せをしてきたレヴィに、リディアはゆっくりと頷いた。こちらを見下ろしてくる同士達をぐるりと見回しながら、彼女は再度口を開く。
「…不可解な点、ある。………敵の警戒網、厳重になったけど……………問題は、それが、国外にまで及んでる……その点」
「………国、外?」
今の今まで頭を抱えて唸っていたロキが、フッと顔をもたげて首を傾げた。


