(…なんにせよ、サナの記憶が戻らない限りは何とも言えないのかな…)
ちらりとサナを見やれば、いつの間にかあの固い種を粉砕して腹に収めたらしい。満足げに息を吐いて膝の上に寝そべるティーを突っつきだした彼女に、ライははにかんだ。我が子か何かでも見るかのような、優しい眼差しをサナに注ぐライを、フォトは不思議そうに見上げていた。
「………でも、バリアン兵士はどうして誘拐殺人を繰り返しているんだろう…砂漠調査と関わりがあるとは思うけれど…………今の状態じゃまだ敵の真意は分からないな…」
調査に関しては、黒槍の報告を待つしかない。彼の土産話とこの情報を照らし合わせれば、少なくとも敵の考えがおぼろげに見えてくるだろう。…それと、白槍…レヴィにもサナの事を改めて話さなければ。
「おいらも、もう少し調べてみるよ。こういう外の話は旅人に聞いた方が一番手っ取り早いからね。宿屋で聞くのも良いけど、実際街を回った方が多く掴めるから、夜にでも忍んで…」
「それは止めておきなさい、少年」
…と、情報収集に意気込みを見せるフォトの言葉をピシリと遮ったのは、その隣のライ…ではなく、顔に猫パンチを食らっているサナ…でもなく。
………いつの間にか顔を上げ、フォークの柄でテーブルをコツコツと単調なリズムで突いている、ユアンだった。
いつ起床されたのだろうか。若干乱れた薄いクリーム色の髪から、テーブルの木目の跡がばっちり付いた額が見え隠れしている。
厳しい口調も、明らかに寝起きの姿では威厳も何も無い。
「…先生、いつ起きたんですか?もうその肉、多分冷めてますよ」
木目の跡が付いて赤くなった額をチラチラと見つつもそこには触れず、冷静に手つかずの夕飯の現状を教えれば、ユアンは一瞬至極残念そうな表情を浮かべてフォークを咥えた。
…体格や顔の作りといい、ただでさえ女性に偏った容姿をしているのだから、その可愛さを際立たせる仕草は止めてほしい。
昔リディアも言っていたが…つくづく思う。本当に何故この人は女性ではないのだろう。
ちらりとサナを見やれば、いつの間にかあの固い種を粉砕して腹に収めたらしい。満足げに息を吐いて膝の上に寝そべるティーを突っつきだした彼女に、ライははにかんだ。我が子か何かでも見るかのような、優しい眼差しをサナに注ぐライを、フォトは不思議そうに見上げていた。
「………でも、バリアン兵士はどうして誘拐殺人を繰り返しているんだろう…砂漠調査と関わりがあるとは思うけれど…………今の状態じゃまだ敵の真意は分からないな…」
調査に関しては、黒槍の報告を待つしかない。彼の土産話とこの情報を照らし合わせれば、少なくとも敵の考えがおぼろげに見えてくるだろう。…それと、白槍…レヴィにもサナの事を改めて話さなければ。
「おいらも、もう少し調べてみるよ。こういう外の話は旅人に聞いた方が一番手っ取り早いからね。宿屋で聞くのも良いけど、実際街を回った方が多く掴めるから、夜にでも忍んで…」
「それは止めておきなさい、少年」
…と、情報収集に意気込みを見せるフォトの言葉をピシリと遮ったのは、その隣のライ…ではなく、顔に猫パンチを食らっているサナ…でもなく。
………いつの間にか顔を上げ、フォークの柄でテーブルをコツコツと単調なリズムで突いている、ユアンだった。
いつ起床されたのだろうか。若干乱れた薄いクリーム色の髪から、テーブルの木目の跡がばっちり付いた額が見え隠れしている。
厳しい口調も、明らかに寝起きの姿では威厳も何も無い。
「…先生、いつ起きたんですか?もうその肉、多分冷めてますよ」
木目の跡が付いて赤くなった額をチラチラと見つつもそこには触れず、冷静に手つかずの夕飯の現状を教えれば、ユアンは一瞬至極残念そうな表情を浮かべてフォークを咥えた。
…体格や顔の作りといい、ただでさえ女性に偏った容姿をしているのだから、その可愛さを際立たせる仕草は止めてほしい。
昔リディアも言っていたが…つくづく思う。本当に何故この人は女性ではないのだろう。


