亡國の孤城Ⅲ ~バリアン・紲の戦~

前を遮れば、老体とは思えぬ力で投げ飛ばされたり、杖で軽く払われる。説得しようにも、哲学脳のオルディオが相手では歯が立たない。訳の分からない理解に苦しむ哲学めいた文章を返してくるばかりで、そもそも話が噛み合わない。
こうなると、オルディオは手が着けられない。
彼はこうやって、時折暴君と化すのだから。



結局、オルディオの意思を尊重することとなり、何かあった時のためにリディアが同行することとなった。

突拍子なオルディオの行動も、これでひとまず何とか収拾がついた。



…のも、束の間。
一難去ればまた一難。水柱が立てば波紋が出来る様に、問題はそこに止まらなかった。




支度を整え終わり、オルディオを支えて、さあいざ行かんと背を向けたリディアに………ライは、ポツリと声を掛けた。




「…あー、リディア………………サナは…どうするの…?」




ふと、沸き起こった疑問だった。
二人が出掛けるのは構わない。構わないのだが……ここには一応、オルディオ以外にもサナという者がいるのだ。


サナはようやく一人で歩けるようになったし、転んでも受け身が取れるようになった。手を引いてあげれば、少しだけ走る事も出来る。

…だが、それ以外はまだまだだ。まるで歩き方を覚えたばかりの赤ん坊そのもので、食事などの世話は欠かせない。誰かに、世話をしてもらわねばならない状態は依然として続いている。
ライがいない間はリディアに任せていたのだが…そのリディアが不在となると、それは、つまり………サナは独りきりということであって。







「サナの面倒、今日明日、任せるから」

「………え…?」

「変な真似、したら、絞めるから」

変な真似って何さ!と困惑仕切ったまま内心で突っ込むライ。勝手に了承したものとしてリディアは淡々と話を進める。

「分かってると思うけど、あたしがやってた事、それも全部、任せるから」

「え」

「入浴と排泄、場所、指差してあげれば、分かるから」

「え」