おかしい…というのは、どういう意味でのおかしいなのだろうか。
砂漠が活動拠点であるライ達からすれば、見飽きたバリアンの砂漠は何ら変わりない様に見える。
気候、動植物などの自然の変化に関しては恐らく一般人よりも詳しいのだ。伊達に砂漠を駆け回っていないのだから。
「…砂漠の、何がおかしいんですか…?」
「………知らないのですか?…近頃、この砂漠のあちこちで蜃気楼が頻繁に現れるらしいですよ。しかもそれは、ただの蜃気楼ではない………」
「…蜃気楼?」
「見た者の証言によると、その蜃気楼は何か…大きな細長い石……柱の様なものを映しているらしいです。ゆらゆらしていますから、正確な姿は分かりませんがね。ただの蜃気楼ならいいのですが、どうやらそれは………強い魔力を放出しているらしい…とのことです」
ユアンの言う話は、彼が最近放浪して訪れた街で耳にした情報だった。
柱の様なものを映した蜃気楼…。蜃気楼なんてものは日頃目にする事も多く、何処の景色を映しているか、何なのかなど今更真剣に観察する人間などいない。
柱の蜃気楼が目撃され始めた当初も、人々の話のネタになることは皆無だったのだが…。
「朝方頃、でしょうか。……ここから東の方で、一人の商人が偶然、柱の蜃気楼が浮かび上がる瞬間を目撃したそうです。夜明けにぼんやりと遠くに浮かび上がったそれは、一瞬真っ赤に染まったかに見えたかと思うと………突然、たくさんの獣がそこら中から現れ、商人を通り越して蜃気楼に向かって行ったのだそうです」
「…魔力に、引き寄せられたのか…」
魔力を持つ獣は、強い魔力に引き寄せられる習性を持つ…と、遥か昔の何処ぞの学者が言っていた事を、レヴィはふと思い出した。
バリアンに生息する獣の中では、砂喰いが一番魔力を持っている。偶然居合わせた商人が目にした獣の群れのほとんどが、恐らく砂喰いの類だったに違いない。
「柱の蜃気楼はすぐに消えたそうです。奇妙な蜃気楼を見たという話は少しずつ広まり、商人達の中で目撃者は次第に増えていきました。そん中…蜃気楼に向かって獣の群れと共に移動する商人がいたそうです。別の商人が遠くからその様子を見ていたのですが」
砂漠が活動拠点であるライ達からすれば、見飽きたバリアンの砂漠は何ら変わりない様に見える。
気候、動植物などの自然の変化に関しては恐らく一般人よりも詳しいのだ。伊達に砂漠を駆け回っていないのだから。
「…砂漠の、何がおかしいんですか…?」
「………知らないのですか?…近頃、この砂漠のあちこちで蜃気楼が頻繁に現れるらしいですよ。しかもそれは、ただの蜃気楼ではない………」
「…蜃気楼?」
「見た者の証言によると、その蜃気楼は何か…大きな細長い石……柱の様なものを映しているらしいです。ゆらゆらしていますから、正確な姿は分かりませんがね。ただの蜃気楼ならいいのですが、どうやらそれは………強い魔力を放出しているらしい…とのことです」
ユアンの言う話は、彼が最近放浪して訪れた街で耳にした情報だった。
柱の様なものを映した蜃気楼…。蜃気楼なんてものは日頃目にする事も多く、何処の景色を映しているか、何なのかなど今更真剣に観察する人間などいない。
柱の蜃気楼が目撃され始めた当初も、人々の話のネタになることは皆無だったのだが…。
「朝方頃、でしょうか。……ここから東の方で、一人の商人が偶然、柱の蜃気楼が浮かび上がる瞬間を目撃したそうです。夜明けにぼんやりと遠くに浮かび上がったそれは、一瞬真っ赤に染まったかに見えたかと思うと………突然、たくさんの獣がそこら中から現れ、商人を通り越して蜃気楼に向かって行ったのだそうです」
「…魔力に、引き寄せられたのか…」
魔力を持つ獣は、強い魔力に引き寄せられる習性を持つ…と、遥か昔の何処ぞの学者が言っていた事を、レヴィはふと思い出した。
バリアンに生息する獣の中では、砂喰いが一番魔力を持っている。偶然居合わせた商人が目にした獣の群れのほとんどが、恐らく砂喰いの類だったに違いない。
「柱の蜃気楼はすぐに消えたそうです。奇妙な蜃気楼を見たという話は少しずつ広まり、商人達の中で目撃者は次第に増えていきました。そん中…蜃気楼に向かって獣の群れと共に移動する商人がいたそうです。別の商人が遠くからその様子を見ていたのですが」


