「だーかーらあっ…」 アタシが立ちあがったら、コーヒーのカップが揺れた。 そして額に何かを感じた。 それは、森さんが付けた一枚の紙で。 「もし君が来たら、これ渡してって言われてた気がするなぁ」 子供のような、意地悪な笑みを浮かべる。 ヒラリと落ちた紙には、住所らしき文字 それも ―愛しい一哉の字で。 そうだとわかった瞬間、アタシはすぐさま紙をくしゃくしゃに拾った。 「ありがとうございますっ!森さん!」 「バイバイ」 最後に、森さんが手を振るのが見えた。