『今夜7時だからね!』


そう友達から念を押されていたのに、のぞいた時計はもう6時半を回っていた。


ゆっくりと買い物を楽しんでいた私は、パーティー会場へと急いだ。


『今日は、X'masEveです…』


そんな声が聞こえた街のTVが映し出す風景に思わず足を止めた。


画面には、沢山の異国の子供達。


そしてその映像は、痩せこけた手を延ばしてボランティアの外国人が配るひとかけらのパンを求めていた。


そんな映を見て私は思った。

神様ってこの世に生を受ける全ての人間や動物を平等に創られてているのかしら?


ショーウィンドーに映る華やかな装いの自分を見つめて、思わず息を呑んだ。



目をつむったその時、携帯がX'masCarolを奏でる。


『大丈夫?間に合う?』


電話から流れる友の問い掛けに、私はしぶしぶ歩き出した。


静かに降り出した雪が、私の髪に……肩に……落ちて溶けていく。


寒さで小さくなりながら、TVの画面をゆっくりと思い出していた。



彼らの幸福は、何なのかしら……


涙が……涙だけが彼らの出逢うものなのかしら?


そんなの、悲し過ぎる……


夢や、憧れが彼らの心に広がればいいのに。



そんな事を考えながら、グレーの空を見上げた。


悲しみや苦しみを祈るかのように、私の涙が白い吐息になって夜空へ昇っていく。


限りある命を守る。


強い者が、弱い者を……


自然とそれが出来る、そんな世界であって欲しい。


そして私も、その強きものでありたい。


淡いキャンドルの燭が、私の気持ちを強くしていった。


=fin=