この感情を言葉にすることが

どれほど自分勝手なことかを

目の前の潤んだ瞳に教えられる。


「莉子…」





ずっと、黙っていた大悟が口を開いた。


「莉子が言いなくなきゃ、言わなければいいし。

海斗を殴りたきゃ、殴ればいいよ」

「…うん。わかってる」


大悟の言うことは正しくて、オレは莉子から視線を外さない。

ここでうつむいたら、
莉子をまっすぐ見なかったら、またオレは逃げてしまう。



スゥッと息を吸い込んで、目を閉じた莉子はゆっくり話はじめた。

「千雪は…」