千雪が小さく震えた事も分かった。 けど、 そんな千雪を見ても もう何も思わない。 「じゃあな」 もう、背の向こう側から千雪の声はしなかった。 オレも振り返らないで 黙ったまま停めてあった自転車にまたがり、公園から出て行った。 春の夜の少し生ぬるい風の中を通りながら帰り道を急いだ。 最悪な1日…… こんな日はさっさと寝て、忘れたい。 『タカハシ』が見舞いに来た日のように 千雪の言った真実も 千雪の存在すらも……。