まだ頬が赤らんだまま手を振った千雪を 今度はしっかりと玄関が閉まるまで見送ってから、オレも家に帰ってきた。 いつもと同じようにカバンを散らかった机に投げてベットに背から倒れこむ。 ギシッというスプリングの軋む音とため息が重なる。 そのまま天井に向かって手を伸ばした。 まだ、覚えてる。 千雪の温もり。 小さな体がこの腕の中にいたって刻みこまれてる。