「はい、ココア」

差し出されたココアからあたたかい湯気があがる。


「ありがとう、ございます…」

受け取り、リツが言葉に詰まると、

「サクヤ、サクヤでいいよ。かしこまらなくていいし」

そう言って、サクヤは笑った。
その笑顔で、リツの表情も穏やかになる。


「あ、私は如月リツ。リツでいいです」

「うん、知ってる」
さらっと言うサクヤの様子に、リツは驚く。


「え?…何で知ってるの!?」