タカはスロットルを全開にした。

「加速ではZ2の方が早い!このまま行ってくれ!」

長い登りの最後の直線でタカは5m程リードしたままタコおやじ達のいるゴールを目指した。

タカは4速全開で5速にシフトアップした時GTRとの差は10m程に開いていた。

その差は縮まらぬまま、2台はゴールした。


タコおやじがビックリして飛んで来た。


「びっくりしたぜ、タカ!お前のライディングで麗奈に勝てるとはな!俺のモンスターZ2が余程優秀って事だな!ハッハッハ」

感じワリーな事タコ!タカが心の中で思っていると麗奈がGTRから降りて来て言った。

「おじ様、こんな隠し玉を用意してなんて驚きだわ」

「へっ?隠し玉?いやいや、俺もタカの走りなんて~のは今日始めて見たんだわ!」

麗奈は驚いたような顔してタコおやじのほうに近づいて来た。そして耳元で囁くように言った。

「おじ様、タカはダイヤの原石よ!いくらなんでも、今日初めて乗ったようには見えないもの」


タカは聞き耳を立てて聞いていた。「俺がダイヤの原石?]

意味はよくわからなかったが褒め言葉には違いないと内心ウキウキのタカであった。

「麗奈、すぐに調子に乗るから、あまりこのアホを褒めないでやってくれ」

「なんだよ!おっさん!俺の才能が開花しただけの事じゃないか。ハッハッハ!」

「これだ!もう、おめーは乗せねーよ」

「わかったよ!こっちだって、頼まれたって乗らねーからな!」

そばにいた麗奈が二人の会話に割って入って言った。

「あら、おじ様。だったら私がダイヤの原石を貰ってもいいかしら?」

「ああ、このアホは磨いたって水晶にもなりゃしねーよ」

「ひでーな、おっさん!俺が麗奈お姉様に取られてもいいのかよ?」

「いいよーぉっ!」

タコおやじは親指を立ててタカに返事をした。

「はい、決まりねっ!タカ今度ここに連絡してちょうだいね」

麗奈はタカに連絡先の入った名詞を渡しながら言った。