俺はショックでした。
あんなにひとあたりの良さそうな5番目グループが汚い口を叩くなんて、信じたくなかった。


――そう、どういう心理か分からないけれど、

【教室で半分以上が煙たがる存在の人の悪口は、誰でも言いやすい】ようだ。

みんなが言っているから、悪口を言っても【罪の意識が薄れる】んだろうな。


本当びっくりだよ。
直接関わりがなくとも、勝手に悪口を言われるんだぜ?

当事者からすれば歯痒いしむなしいしイラつくよな。


ご主人は盗み聞きに限界を感じたのか、あっさりドアから出た。

そして鏡の前でにこりと5番目グループに向かって笑い、

『てかさー私の方が性格極悪だよーアハハ、だからモテません』みたいに、冗談を投げ付けた。


――やっぱり言えないみたいだ、“悪口は良くないよ”なんて正統派なことを。

だって前述しましたが、ご主人は生活範囲の違う人には愚痴りますから、

自分のことを棚に上げて人に注意できないみたいだ。
そこは筋を通すらしい。普段はとことんデタラメな癖に、意味不明な人間だよな。



それでも、まあ場を和ませることが、少なからずご主人の周りからの評価だった。

笑いのレベルは低いが、“いつも冗談ばっかの奴”と認識されていた。


だから、いつものように失笑でもいいから、Bちゃんについて悪口を言いまくる5番目グループどもをさっきの言葉で場を和ませたかったようだ。

(俺はこの人の発言の裏を探るのが好きだ。腹黒い牽制)


勇気の出し方が変だけど、誘い笑いをしながらご主人は言った。