『Jちゃん…私』
空を見て言った。
空を美しいなんて情緒豊かに感じず、《首が疲れた》と思いながら。
『私さーメンドイのは嫌いだから』
曖昧に微笑んで、ご主人はJちゃんにバイバイをする。
(ご主人のお弁当を持って来てくれたJちゃんが、お弁当箱の処理に戸惑っていたことには気付かなかった)
太陽に透けたJちゃんの茶色い髪は、きれい。
シリアスは苦手。
真面目さは苦手。
思いやりは苦手。
真剣さは苦手。
堅苦しい熱血は苦手。
――――イジメは苦手。
真面目に言うなら、Jちゃんはたぶん、一生一番大事な大親友。
そんな彼女とご主人には、ゆるさしか必要ない。
泣くなら笑い泣きが似合うから。
『ごっつのDVD貸してね?』
――と残して。
それがスマートな出来るオンナの対処法だと思うから。



