ご主人と付き合って十五年の俺だけど、物事をはぐらかす悪知恵を持ってるんじゃないかって感じてる。


まあ、要するにここで正義感強く、

“悪口アカン”と言える人間ではないんだってこと。


そう、俺のご主人は“悪口を聞きたくないから卑怯に話術で交わしてきた人”なんだ。


だからって天使じゃないので、愚痴を言わない訳じゃない。

一応悪口と愚痴は我慢するようにしているが、どうしても言いたい時は、

学校の子の愚痴はバイト先の子に、バイト先の子の愚痴は学校の子に……と、器用に使い分けてんだぜ。


だって同じクラスの子の悪口を同じクラスの子に言ったら、すぐにバレますよね?


性格が良くないご主人は、“悪口は言いません”と言える程、できた人間じゃないので、

こんな感じで、ずる賢く生きてきた女なんだ。


それに【本当に誰の悪口を言わない人は、それが元で、“本音を言わない”とかって悪口を叩かれる】じゃん?

だから悪口を言わない人はそれが嫌われる原因になるんだ。


謎だよなー。女子って。【何かにつけて“腹を割って話したがる”】よね。

【お腹の中の不満や悪口や愚痴を披露すれば親友の出来上がり】?なんだろうね。不思議だよ。


だからご主人は、人間臭いダメな部分もきっちりと披露しつつも、
二次災害にならない程度に使い分けてる訳だ。

ぞっとするよ。小悪魔ではなく隠れ悪魔。


そんな風に計算高い癖に、数学は赤点ばかりだったのは言うまでもない。