『空、綺麗じゃね?』
『ポエマー?』
『っふ、みつをにみつる、対抗しようかな』
『ならツルタロウみたく書道にしなよ』
『あー、入選?あれしたことないよ、どんだけ字汚いーって』
『クラス半分は入選するよね?主人ちゃんどんだけ象形文字な訳?』
『そー、造形文字。やばくない?てか墨汁って強くない?』
『分かる!ブラウス染みたら終わりだったよねー』
くすくす笑う。空の下。
淡々としたやりとりはゆるくて、ちょうどいい。気を張らない会話の流れ。
『てか硬筆6Bけ?』
『2Bもね、HBは禁止』
『意味不明だよねー柔らかいからすぐ削るってゆー』
『右手擦れて黒くなるくない?』
『そー分かる!分かる!凄い汚れてー』
『硬筆あるある』
『書体?正式名称なにっけ?』
『気になるーアハハ』
――笑って、沈黙。
いつもは心地良い沈黙が、重たくて息をするのがやっと…



