腹が立つなら、お財布を忘れた自分のダメさに怒りたいし、
ムカつくなら、食べ過ぎできつくなったスカートに苛立ちたいし、
悪口を言うなら、自分の悪口で自虐的な笑いが欲しい。
――いちいち他人に不満を唱えたって、もったいないじゃないか。
“いい人ぶって生きたい”じゃないか。
――そんな簡単なことが出来ないのが女子なのか?
『あーあ、うぜえな死ねばいいのにいっぺん死ね死去死去死去』
授業が始まって。
一人だったから。
ご主人は独り言を言った。過激派だ。フーディガンだ。
ぶつくさ唱えても無駄なのに。いっぱいいっぱいなんだろう。
俺には分からなかった。
―――“誰”に向けた言葉だったのか。



