【イジメの話】は、したくなかったらしい。
だって《Jちゃんはイジメられるような人じゃない》と思っているからだ。
Jちゃんとは楽しいだけの会話をした。中学の時の男子を目標に。
…泣きたい人を笑顔にするのは難しくて――それでも冗談ばかり並べた。
自分の教室に帰れば、『どこに行ってたの?』と尋問の始まり。
『Jちゃんのところ』とご主人は今朝はマフィンを食べたんだといった口調で澄まして言う。
さらさらと。
…この人にはドロドロって言葉が似合わないかもしれない。
なんでもかんでも受け流す。ネチネチ留めたりしない。
休み時間はJちゃんのストーカーのようにご主人は通い詰めた。
――そんな日が数日。
いつものようにベランダでご飯を食べていたら、
『主人ちゃん、いいかな』と呼び出された―――
それはイジメ警報。ワンセグを付けたら非難勧告が出ているだろう。



