【みんなが悪口を言っているのに一人言わなかったら、空気を乱す】から――
やむを得ず。言う。
【一人になりたくないからと悪口を言えば】、必ず【一人になる人が居る】のに――
『Jちゃんて調子乗ってない?』
『自分のコト可愛いって思っているよねー』
『感じ悪いねー』
悪口悪口。忙しい人たちだ。
ご主人はそのグループに近付いて、『ねえ昨日TV見たー?』と話しかける。
シリアスな話に似合わないライトなノリで。
“KY”に、空気をぶち壊すのも逆に難しい。
恋愛の話をしているのに、老後の話を持ち出すくらい難しい。
『主人ーおはよ』『おはよー主人ちゃん』
挨拶もさておき、『Jちゃんってうざくね?』と、いきなりだ。
TVの話題なんて流れて行く。だって彼女たちにとっては“面白くない”話だから。



