『もうっ主人ちゃん真面目に聞いてよ』
泣き叫ぶKちゃんは不細工で。性格のブスさが顔面に剥き出しになっている。
『私勉強嫌いだから。だからゴメン、難しい話は分からない。知らない』
キッパリと言った。
笑わずに。真剣な目をして。
ああ、この人の“真面目”な姿を俺は初めて見たかもしれない。
いつもいつも手抜きで、でたらめで、口先だけの女なのに。
ああ、俺が透明人間じゃなかったら、多分。
今、多分惚れるとこだったんだろうな。そんくらい、多分いい顔をしてた。
嫌な女だから、うちのご主人くせ者だから。
たまに素直なことを言う。
ギャップ。
なあ、性格悪いあんたはある意味立派かもしれないよ。
時と場合で短所が長所に変わるように、性格が悪いもあらゆる化学反応で正かの性格が良いに変化するんだからさ。
これは奇跡だ。俺は今、平成の奇跡を目の当たりにしたんだ。なんて。



