翌日、ご主人はいつものようにプリクラを配った。
友達に配るのがプリクラ――当然ギャルの子たちにも配った。
(余談だけど、思春期ってギャルの子のプリクラ帳に載るのが“偉い”んだよね)
ばかだろう。プリクラはJちゃんとなんだから――
『プリ詐欺り過ぎじゃね?』
『確かにー。Jちゃんってキメ顔やばいねー』
『いやいやヘン顔のがキてるよ?!』
――そう、ご主人は【イジメ好きな女子に、ネタを提供した】んだから。馬鹿だろう。
…配った後にしまったと気付く。やっぱり気付くのが遅いダメ人間だ。
Jちゃんが一時間目の途中に登校したのが廊下の窓から分かった。
プリクラ悪口で焦ってるんだけど、ご主人はホッとした。――今までの人みたいに【不登校になって欲しくない】から。
【イジメられているのに登校するなんて、やっぱりJちゃんはクラスメートより大人なんだと尊敬した】
…尊敬する人を聞かれて親だと言う人を、
『いい子』と褒める人と、『当たり前だろ』と呆れる人が居るよね。
どっちも正解だから、どっちでも良いってことだよな。
なのに、なんでもかんでもどっちかに決めたがるのって不思議だよな。
世の中は不思議だらけ。
悪口の不思議。



