てのひら

☆彼方side☆





視線を感じた。




電車に友達を乗り込んで
今日の話をしていた時だ。




ふっと視線の先にいたのは
詩史。




俺はすぐにあの時の女の子だとわかったんだ。
お礼を言うこともなく別れたから気にはなっていた。





自分が耳が聞こえないと理解し始めたのは幼稚園くらいだろうか。




父さん、母さんの声も




大好きな特撮ヒーローの声も





聞こえない。






なんでだろうと思っていた。