秘密な花嫁~旦那様は先生!?~特別編④

「あっ」


女優さんが龍矢に笑顔を向ける。


その瞬間、胸がぎゅって苦しくなる。


だって、女優さんの笑顔、さっきの撮影のときに見せてた笑顔を違うんだもん。


ほんとの笑顔というか、ちょっとだけ龍矢に興味があるみたいな感じ。


さりげなく龍矢の腕に手を置いてみたり。


ダメダメ、触んないで!


龍矢は私のだもん。


その様子を見ることが出来なくなって、目をそらす。


「美和」


「えっ?」


目をそらした瞬間、龍矢から声がかかる。


「おいで、美和」


遠くからでも、龍矢が優しく笑っているのが見える。


その笑顔に吸い込まれるようにして、私は足を一歩前に踏み出した。