俺はあいつと一緒に帰るために、わざと遠回りをした。

あいつと一秒でも長く同じ時間を過ごしたくて。

別れるとき、やっぱりあいつは俺を“中村”と呼ぶ。


俺は“美雪”って呼んでんのに。


ジッと見つめたら、顔を真っ赤にしながらも“祐真”って呼んでくれた。

・・・やっぱかわいいな、あいつは。

家に帰ってふと思った。


“過去ってなんなんだ?”


・・・はぁ。全然わかんねえ。