「わかりやすいな~。アイツも。」


先生はニヤニヤ笑っていた。


「え?」

「いやいや、何でもない。で、話ってなんだ?」


あたしは先生に引っ越すことを話した。


「・・・そうか。」

「それで、1つお願いがあるんですが・・・。」

「何だ?」

「みんなには言わないでほしいんです。」

「なんで?」

「・・・みんなに言ったら、あたしが転校することを意識するじゃないですか。」

「たぶんな。」

「あたしは最後まで当たり前の日々を過ごして転校したいんです。
だから中2の始業式の日にあたしが転校したことを言ってもらえますか?」

「わかった。そうするよ。」

「ありがとうございます。」


あたしはペコッと礼をして帰ろうとした。