「いやいや、こんぐらいはしないと。これから取り引きをするんだから。
まぁ、とにかくそこのイスに座れ。」

「取り引きって?」


あたしはイスに座りながら聞いた。


「今度ある数学の小テスト、点数勝負しない?」

「あんたにあたしが勝てるわけないじゃん。」


何しろ中村は学年トップなんだから。


「いや、そりゃ俺が勝つけどお前も一応学年2番なんだから“俺”という目標があった方が良いだろ?」


…コイツ自意識過剰すぎないか?


「一応って何?あたしが学年二番じゃおかしいみたいじゃん。
で、勝った人にはなんかあんの?」

「そうだな。特典は“負けた人は勝った人の言うことを1つ聞く”にしよう。どう?のる?」


うーんどーしよう。もし“負けたら言うことを聞く”でとんでもないこと言われたら。
…中村のことだからありえる。


「あ、別に無理してのらなくてもいいよ。俺が勝つのは目に見えてるし。」