青空色のタイムリー

 時間は日が沈みきってないところを見るとまだ浅いのだろう。僕は空を見ずに地面に視線を向ける。なぜだか空がうまく見れなかった。あの夢を見たからだろうか? もどかしさと不安で胸が締め付けられる。
 夢―――あの夢。無関係とは思えないあの夢。少年が、空を知る夢。だけど、だけれど、少年は自分が何のために空へと旅立ったのかを分かっているのだろうか? 求めるものがあって空へと羽ばたいていったのだろうか? そもそも少年が一人の力で飛びたてたのだろうか?
 考えてもわからない事に不思議と執着してしまう。僕が間違っているのかは判らないが、気になることは確かなのだ。
 もやもやとした思考が脳膜に張り付き離れない。
 僕の憧れの空。青山の希望の空。二つとして意味交わされる確かな物。どれもが正しくどれもが確実で、各個が思うものは間違いとは認められないのだ。あの少年が間違った空をソラと言おうとも。実のとこ重要なのが、意味があるかどうかなのだ。

「私はですね、この空を閉じ込めてしまいたいのです。一生に一度だけのこの空を。視界に映る果てのない空を」

 いつの間にか目を覚ましていたらしく、唐突に話しかけてきた。
 僕は立ち上がり、網目状の策まで寄って右手の指を掛ける。空はまだ見れず校庭を見下ろした。