青空色のタイムリー

 涼しげに眺める青山の顔立ちは、艶麗(えんれい)で華やいで見えた。
 炎天に居座る僕たちの時間の大半が空に費やされているのだろう。刺激がなさそうで有る、隠微な刺激。これは実践しても解かる人でないと解からない心地のよい体験。
 空は広い。この言葉に魅力を感じてしまう。青山に言わせれば果てがない、らしい。どちらも同じだけど、スケールの感じ方が変わるだろう。僕としては果てがないという言葉に幻想を抱いてしまうのだ。もちろんいい意味でだけど。 ―――――幻想。
 また夢を見た。
 いつもの夢だ。中空をさ迷い、空魚として空を眺める。地上からは陰と嫌われ、知らないは当の本人だけの孤立した海(そら)。
 少年は繰り返し同じ海を漂う。
 空の意味に気づかぬままに。そうして体はいつしか正真正銘、陰へと姿を変えていく。自分の異変に見向きもしないで、ただそこに居るだけの厄介者。
 いつもと違うといえば、ここから少年は空へと強い衝撃とともに一直線に羽ばたいていくのだ。瞳には青い色覚を帯びながらに。口は笑い、本当の空を少年はそこで知る。今まで自分が居た場所は空ではなく、中空というまがい物の空だということに。そこで、目が覚める。続きはなく繰り返しの夢。一度リセットされるたびにまた最初から、何度も何度も。同じ夢が繰り返される。
 今日は昨日の続きだろうか、空に羽ばたいた続きが見れたのだ。