「一八番、棚岡精華です。

 本当の探偵になりきれるよう頑張ります。」

 そうして、オーディションが始まった。

 精華は覚えていないが、まるで、本当の探偵のように思える演技だった。

 
 そして、一週間後・・・

「精華、この前のオーディションの結果が来た。」

 マネージャーの声に、どきりとした。

 急に心臓が苦しくなる。


――お願いします。――

 思わず祈りたくなる。

 マネージャーはただ、見ているだけだった。