〖完〗子ども警察官の精華

 理子の目には、涙を浮かべていた。

 精華は気付いた。


――きっと、事件のこと思い出したんやろうな。そっとしとこ。――

 あえて、何も言わなかった。

 たった二人だけしかいないのに、重苦しい空気が流れた。


 しばらくして。

「あの、もう時間なので帰ってもいいですか。」

 正直、これがい言いにくかった。

「待って、一つだけ言わせて。」

 理子が叫んだ。

 大粒の涙が流れていた。