さらに歩いて、廊下の真ん中あたりで止まった。

「ここに、宇多田さんがいるよ。」

「はい。」

「じゃあ、私はこの辺で。」

 看護師さんは去っていった。

 入る前に、録音機の電源を入れる。

 緊張がますます高ぶってきた。


 こんこん~♪

 ノックの音が小さかった。

「だれ?」

 理子の声が。

 精華は、一瞬びっくりした。