精華の緊張は、急激に高ぶる。


――もう耐えられん。――

 と思いながらも、なぜか耐えていた。

 それを何回も何回も繰り返して・・・

 
 駐車場に車を止める。

 一瞬足が止まったが、何とか降りる。

 職員、刑事専用の入り口から入る。

 だんだんだんだん、歩くスピードが落ちる。

 だんだんだんだん、主人との距離が遠くなる。

 無常なことに、主人はまったく気付いていない。


――主人。待ってください。――

 そう願っても、遠のくばかりだ。