これを精華の勉強机の、引き出しの奥深くに隠した。

 隠した後の精華の顔は、どうもすっきりとしていない。


 家族でとる、仕事前最後の夕食でさえも。

 
 あれほど、楽しみにしていたはずの「初仕事」が急に、嫌になってきた。

 精華は、この矛盾を抱えながら眠りに就いた。


 翌朝、最寄の駅まで親が見送りに来てくれた。

 そして、電車に乗った。

 
 見慣れた町も、かつて通っていた小学校も・・・

 皆、あっという間に過ぎ、知らない町へと移り変わった。


 窓を見たくないのか・・・

 見たいのか・・・


 よく分からない。